
今回はアパレルメーカーに勤める企業ニットデザイナーの話!
今まで布帛やカットソーをやっていたデザイナーが、突然ニットをやることになった時に確実に嵌るポイントとその解決方法を簡単に紹介します。
それではGO!!!!!
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新人ニットデザイナーが最初にぶち当たる!糸関係の悩みと解決方法!
綿番手と毛番手の違い
最初の壁は何と言ってもこれなんじゃないかな?数字だけ見てもさっぱりわからないし。難しいところは省いて、簡単に説明します。
毛番手は分母が大きく、分子が小さい。
例:2/48 (よんぱちそう)と読みます。 1/48の単糸を2本撚り合わせて2/48双糸になります。
綿番手は分母が小さく、分子が大きい。
例:30/2 (さんまるそう)と読みます。 30/1の単糸を2本撚り合わせて30/2双糸になります。
単糸は30/-(さんまるたん)と表記することもあります。意味も読みも30/1と同じです。
新人の頃はなんで書き方違うの?統一にしろやと思っていました。簡単に言うと紡績方法(糸の作り方)の違いです。最終的には全部毛番手に変換した方が後が楽です。マイナーですが麻番手もあります。
糸番手変換方法
ここは確実に抑えるポイント!!0.6と1.7さえ覚えれば大丈夫。
綿番手は×0.6で毛番手になります。
例:綿番手100/2×0.6=毛番手2/60
毛番手は×1.7で綿番手になります。
例:毛番手2/60×1.7=綿番手102/2
あれれ?102になるじゃーん!
細かい数字は省いて表記する事が多々あるので、あまり深く考えないでください。
ちなみに数字が大きくなればなるほど計算上糸は細くなります。
綿番手:太20/2>60/2>100/2細
毛番手:太 1/4>1/16>1/48 細
しかし数字が同じでも同じ太さでは無いので注意が必要。
タコ糸みたいな2/48もあれば、ふわっふわの2/48もあります。
糸メーカーや、加工、染め、撚糸具合などで様々な表情を見せます。
OEMメーカーと商談
OEMの説明記事↓
ニットデザイナーの生々しいお金の裏話
~新人編~
OEM「今度中国行くけど何か探す糸ある?」
新人「2/48ウール100%をお願いします!」
OEM「2/48のどんなウール?」
新人「えっと、、色んなのお願いします!」
OEM「(新人かよ。やりにくいなぁ。。)わかりましたー。」
新人さんは具体的にどんなウールが欲しいか指定出来ないので、OEMメーカーさんは社内にある適当な糸BOOKを送る事になりました。それでも新人は何が良いかもわからないのでとりあえず満足します。
~ベテラン編~
OEM「今度中国行くけど何か探す糸あります?」
ベテ「次のテーマは『金属』なの、ニットでも金属感出したいから、2/48~2/60くらいのウール100%で超強撚でガス焼きしてるようなの探してきて!」
OEM「(んな糸あるかい)ナイロンかポリ10%くらい入れば金属っぽいのもあるかもですね~。」
ベテ「その辺は任せる。とにかくウールメインで金属っぽいのが良い!」
OEM「箔プリントとか後加工で金属っぽくするのはどうですかね?」
ベテ「ニットに箔か、、見てみたいから製品か編地のサンプル何点か送ってくれる?」
OEM「(よしよし進んだ)わかりましたー。」
ベテランさんはこういう事がしたいからこんな糸が欲しい。と伝えています。OEMメーカーさんも、それならこんなのはどうか?これはどうか?とフィードバックします。こんな会話を繰り返す事で、OEMメーカーさんは多くの情報を得て中国に糸を探しに行く事が出来ます。
新人ニットデザイナーはとにかくチーフと情報を共有して、チーフがどんなニットを求めているのか?を探って探ってOEMメーカーとの商談に臨んでくださいね!
メジャーな機械ゲージ
手編みのゲージとは違います。
ニットを編む機械が1インチ(2.54㎝)に何本針がセットされているかでゲージが変わります。
ゲージはGと略します。
メジャーな機械ゲージは、
ローゲージ
3G・5G
ミドルゲージ
7G・9G
ハイゲージ
12G・14G・16G・18G
ざっくりこんな分け方。
5Gはミドルだろって言う人もいます。まぁその辺はニュアンスです。これで世界の98%くらいのニットをカバーできるはず!
他にも20G・24Gとありますが、持ってる工場が少なすぎるので放置!
適正ゲージと度甘・度詰
では適正ゲージ計算方法です。
毛番手の分母と覚えておけば簡単。
1/5 だと適正ゲージは5ゲージになります。
2/10など双糸の時は単糸に変換します。
2/10=1/5 適正5G
2/16=1/8 適正7G(8Gは無いので、基本は9Gより7Gの方が良い)
ロー~ミドルゲージはこれでなんとかなります。問題はハイゲージ。
問題【この糸の適正Gは?】
2/48
・
・
・
2/48=1/24で24Gだ!
不正解だ!
24Gだとガッチガチの編地になります。そもそも編めるか微妙、工場がキレるレベル。ハイゲージは計算上の適正ゲージよりゆるめにしないと柔らかさが出ません。
管理人hayatoが以前勤めていたミセスのアパレルメーカーでは、2/48は14Gが基本でした。
これはブランド毎に違うので、16Gを基本としている所もあります。
最初はわからないと思うので、OEMメーカーさんが持ってくる糸見本は、大体天竺編みの編地サンプルが付いています。
端っこの方に14G×1pとか編み情報が書いてありますので、それを参考にして、
この糸の、この番手は、このゲージで、こんな編地になる。
ってのをひたすら体に叩き込んでください。
しかし!!!!!
2/48 ファインウール 14G×1p
と表記されている天竺編地を見て、
これと同じで良いからそのまま指示しよう。
と、そのまま指示しても、全く同じにはなりません。
大体、編地見本を作っている工場と製品サンプルを作る工場が違うので、その工場のクセでちょっとゆるかったり、きつかったりします。
上がってきた編地見本を見て、
ちょっとゆるめにしたいときは、
度甘(どあま)にしてください。
ちょっときつくしたいときは、
度詰(どづめ)にしてください。
度甘・度詰はゲージを変えないでちょっとニュアンスを変える事が出来るので便利です。
本数取りの表記
ニットはデザインによって糸を2本取り・3本取りすることは多々あります。
表記は色々ありますがどれでも伝わります。
2/48×2p(つーぴー又はにぴー)
2/48×2ply(つーぷらい)
2/48×2本取り
2/48×3p(さんぴー)
2/48×3ply(すりーぷらい又はさんぷらい)
2/48×3本取り
2/48は14Gが基本と書きましたが、それは1plyの場合です。
2plyでは何ゲージになる?
糸の太さが2倍になるので、
2/48×2ply=1/24×2ply=1/12相当の太さとなります。
なので適正は12Gとしたい所ですが、2/48が14Gだったことを考えると、9Gか7Gあたりで様子を見たいところですね。さらに糸の表情でも変わってくるので、この辺は経験とカンでひたすら叩き込むしかない。。
実践!
ちょっと前に相談を受けた内容です。
友達「2/16×2plyで5Gのサンプルを1/15の糸に変更したいって言われたんだけど、何本取りにすれば良い?」
元が2/16=1/8×2ply=1/4の太さ
5Gで編んでるから適正よりキツメ。
1/15×2plyだと1/7.5の太さ、ゆるすぎになる。。
1/15×3plyだと1/5の太さ、丁度良い。
元がキツメだからそれよか少しゆるくなる。まぁこんなもんだろ。
俺「3plyで良いと思うよ、計算上元よりちょいゆるくなるがそれでも良いなら~。」
友人「サンクス!」
まとめ
こんなもんで終わっておこう。。
この記事に書いた内容はニットデザイナーだったら確実に知らないとヤバいです。
新人「これ3Gで適正本数取りで編地作ってね~ニャハ☆」
これでも編地は上がってきますが、OEMメーカー的にはやりにくいニットデザイナーだと思われてもしょうがないです。最低限の知識を身に着けて商談頑張ってください!
それにしてもニットデザイナーの教科書みたいなのって売ってないですよね~。誰か書いてくれ。。
ネットであまり公開されない話を中心に書いています。
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日本のアパレルは95%のパクリと5%のオリジナルで成り立ってる話
元ニットデザイナーhayatoの話
編み物かぎ針の挑戦:リアルあみぐるみを作る事になったきっかけ
この記事はとってもマニアックな需要があると信じてるシリーズ!
ではまた!
面白い話でした!
ありがとうございます!